眠れないということが生き方を変えろというメッセージかもしれません。
それは「今の生活全体を変えなさい、丸ごと変えなさい」というメッセージ。
今の仕事で少し仕事量を減らすとかいうレベルの問題ではないかもしれません。
不眠は生き方ヘのメッセージ
ストレスの少ない職場に変わるということで解決できる問題ではないかもしれません。
うつ病で不眠症になったら先ず丸ごと変わることも選択肢の中に入れて考えた方が良いでしょう。
人間関係で言えば「あの人とは距離を置いた方が良い」という類のことではなく、「今のあなたの人間関係を全体として変えなさい」というメッセージかもしれません。
「ひょっとして自分は新聞記者ではなく、商売に向いているのではないか」と思った時には心の中で何か興奮を感じるものであるとします。
もしそうなら長年にわたって歩んできた道は間違っていたかもしれません。興奮するのは、今まで違った道を歩んで来たが、やっと自分が水を得た魚になる予感がするからです。
その時には心の中になんと名付けて良いか分からないエネルギーを感じます。怖れがなくなります。
今まで何か新しいことをするときには恐れがありました。重要な仕事の前日には不安で眠れませんでした。
出世欲が強ければ強いほど眠れません。出世するためにはどうしてもその会議で素晴らしい発言をしなければならないし、良いアイディアをださなければなりません。
作家であれば、ベストセラーを書かなければならないと不安な緊張をします。
なぜそうなるか。
それは劣等感から成功を望むからです。つまり劣等感が強いから眠れないだけです。しかし適性にあったことに出会うとその成功へのあこがれは変化します。
あなた自身が価値達成タイプから欲求達成タイプへと変わります。欲求達成タイプに変わると、価値達成タイプの時の不安な緊張は消えます。
価値達成タイプとは、していること自体に意味を感じるのではなく、その結果としての成果に価値を感じます。従って目標を、自分にとって適正な目標に調整できません。
欲求達成タイプとは「今、していること」自体に意味を感じます。従って目標を、自分にとって適正な目標に調整できます。
かといって「丸ごと変わる」ことをすぐに実行できるほど世の中は甘くありません。それには時間をかけた準備が必要です。
そしてそのような経過をたどってやっと自分の適性に合った職場を見つけたら、探した時間は時間の無駄ではありません。
すぐに見つけた人に比べれば、はるかに底の深い体験をしています。人間的に深まります。
悔しさが不眠につながる
眠れない時に、はっきりと眠れない原因が分かっているときもあるでしょう。
会社で上司から許せないほど侮辱された。恋人から許せないほど侮辱された。そうした悔しいことがあれば誰でもその夜は眠れません。
その時に他の上司から認められて、望んでいる人事異動があり仕事が出来るようになっても、
眠れないときには眠れません。
「こんな良いことがあったのだから」と自分に言い聞かせても眠れないときには眠れません。
恋人から慰められても、上司の侮辱が心に引っかかって眠れません。
問題は良いことが悔しい気持ちを解消してくれないときです。
悔しいことがあれば誰でも眠れません。しかしその後に意外な幸運が訪れると、普通は、その悔しい気持ちが解消されます。
悔しい気持ちが解消しない
ところがここで悔しい気持ちが解消されない人がいます。解消される人と解消されない人とどこが違うのでしょうか?
解消されないのは生活全体、生き方全体に問題があるということを示しています。
そういう人は、自己実現していないとか、心の支えがないとか、基本的な欲求が満たされていないとかいう人生の土台が脆弱なのです。
嬉しいことがあっても、ちょっとした嫌なことで眠れないときには土台が壊れています。悔しさと、嬉しさのバランスが根本的に崩れています。
人生の土台が出来ていない人は、普通から考えると大きな喜びと、小さな悔しさでも、小さな悔しさに心が占領されてしまいます。
信頼している同僚から裏切られた。信頼している友人から騙された。悪質商法に引っかかった。恋人に振られた。車で追突された。会社を解雇された。
悔しさが解消しない人は人生に土台がない
その様な大きなことではなく、日常的な小さなことの積み重ねでも眠れなくなります。
人は色々なことで眠れなくなります。
しかし心理的に健康な人は、もし何か良いことがあれば、それ以前の悔しさは解消されます。
どうしてもプラスの出来事が、マイナスの出来事からくる感情を解消してくれないときには、自分の人生には土台がないと思った方が良いです。
そのことに気がつき、そこを立て直すことから始めなければなりません。
眠れないことがきっかけで生き方を変える
この「悔しい出来事」は、そのことを自分に教えてくれていると解釈した方がよいでしょう。
今の「悔しい出来事」がなくても、他の悔しい出来事で眠れない日が続いたかもしれません。今の「悔しい出来事」がなくても、もともと色々な不本意なことが続いて、生きるエネルギーは奪われます。
基本的な欲求が満たされていないと、日常の些細な不満が心の中で、もの凄い不満に発展します。そして喜ぶはずのことが純粋な喜びにはなりません。
基本的な欲求が満たされていないということは、毎日吸っている空気が不満なのです。
基本的な欲求というのは愛情欲求だからどんなにお金を持っても、権力を持っても、名声を得ても、それで満たされるものではありません。
生き方全体を変える方向に努力を変えなければならないでしょう。
とにかく眠れないということは眠れないような自分なのです。
たった一回の人生です。自分の人生の転回を成し遂げるべき時というのがあります。