肝臓に障害(病気)がある場合の睡眠薬の処方例とは?

肝臓障害と睡眠薬

肝臓に障害がある場合の睡眠薬の処方例を紹介します。

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肝臓に障害のある女性の症例

65歳女性。30代に輸血歴あり。

55歳から肝硬変の診断で治療中である。最近夫の退職を契機に生活スタイルの変化があり入眠に時間がかかるようになった。そのため、定期診察時に睡眠薬内服を希望した。

意識は清明。手掌紅班、クモ状血管腫を認める。腹水・下肢の浮腫は認めず。

AST 72IU/L、ALT 49IU/L、Alb 2.7g/dL、空腹時血糖値 110mg/dL、総コレステロール 93mg/dL

肝臓に病気がある場合の睡眠薬の処方例

処方例1

・ロルメタゼパム(ロラメット、エバミール)1mg錠1回0.5〜1錠、1日1回、就寝前

処方例2

・ロラゼパム(ワイパックス)0.5mg錠1回0.5〜1錠、1日1回、就寝前

処方の理由

10年来の肝硬変の治療歴があり、血液デ一タ上AST、ALTの上昇、Albの低下など肝機能障害を認めます。

肝臓での薬物代謝は第I相と第Ⅱ相反応に分けられます。第I相反応には、主に肝臓の薬物代謝酵素であるチトクロームP450(CYPs)が関与し、薬物の不活性化を行います。

第Ⅱ相反応の主な役割はグルクロン酸などによる抱合反応により尿中や便中に排泄することです。ベンゾジアゼピン系の代謝の多くはCYP3A4が関与しており、肝障害患者ではCYP3A4は活性が低下することがわかっています。

このため、CYP3A4により代謝される薬剤は避ける方がよいでしょう。CYPsの関与を受けず直接グルクロン酸抱合を受けて代謝されるため、肝障害による影響を受けにくいロルメタゼパムやロラゼパムを少量から使用する方が安全です。

CYPsの影響を受けないとしても肝障害の患者が通常量(またはそれ以上)を服用することは危険です。

CYPsにより代謝される薬剤を避けるのはもちろんですが、肝障害がある場合は、肝代謝ではなくても用量を下げて使用した方が無難です。

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