睡眠薬の選び方。睡眠薬の「合う」「合わない」という現象とは

自分に合う睡眠薬

自分に合う睡眠薬とはなんでしょうか。

ハルシオンやマイスリー、数ある睡眠薬のうちどの薬が自分に合うのか非常に迷うところです。

ここでは睡眠薬の「合う」「合わない」という現象や睡眠薬の選び方について解説します。

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睡眠薬の「合う」「合わない」

医療の現場でよくみられる薬の「合う」「合わない」という現象。ここでいう「合う」「合わない」は効果があるかないかということです。

精神科臨床の現場では、AさんとBさんの不眠症の内容はまったく同じであるにもかかわらず、AさんにはCという睡眠薬が合うが、BさんにはCは合わずにDの睡眠薬が合うという現象に出会うとがあります。

もしもAさんの不眠症が、「寝つきが悪い」という入眠困難であり、Bさんの不眠症は「朝早く起きすぎてしまう」という早朝覚醒で、不眠症の中身がまったく異なるのであれば、効果を示す睡眠薬に違いがあるのは当然でしょう。

しかしながら、AさんもBさんも同じ入眠障害を示しているにもかかわらず、たとえばAさんはハルシオンが非常に効果を示し、Bさんはハルシオンは効果を示さずにマイスリーのほうがより効果があるということがあります。

これと同じ現象は、睡眠薬だけに限らず精神科以外の診療科での薬物治療の際にも、ごく普通にみられます。

ある病態に対して、ある薬以外はまったく効かないということはそう多くありません。同じ病態のように見えても、効果を示す薬は多様であるということになります。

もしかすると、その多様さは個々の遺伝子の微妙な違いによつて生じているのかもしれませんが、現時点では未解決のままです。

抗うつ薬では「合う」「合わない」ははっきりしている

近年、わが国ではうつ病で苦しむ患者さんが急増しています。

そううつ病なども含めると患者数は100万人を超えているという報告もあります。その治療には、主に抗うつ薬を用いるのですが、その際も患者さんごとに合う抗うつ薬と、合わない抗うつ薬があります。

たとえば、Xさんにはパキシルが「こんな素晴らしい薬はない」とご本人が感激するほどの高い効果を示すのですが、似た症状を持つYさんにとっては「パキシルを飲んで、うつがますますひどくなった。薬を変えてほしい」と言わざるを得ないという結果になるということがあります。

Xさんにしてみれば、うつ病で苦しむ患者さんがいれば、「すぐにでも心療内科を受診して薬をもらったほうがいいですよ」と言いたくなりますが、これに対して、Yさんは、「薬で心の問題を解決しようなんて間違いだったのかもしれない。薬を使った治療はこれ以上受けたくない」と思うかもしれません。

何も知らない人がパキシルについて、服薬の経験者に聞いたら、Xさんから話を聞くのと、Yさんから話を聞くのでは、まるで印象が違うでしょう。

このように、抗うつ薬は患者さんにとって「合う」「合わない」の結果が非常にはっきり出るので、聞きかじりや思い込みで「この薬がよい」などと決めつけずに、専門家と相談しながら慎重に自分に合う薬を見極める必要があります。

ベストな睡眠薬の選び方とは

睡眠薬の薬剤選択

睡眠薬の選び方において重要な点は、医療者サイドが、今用いている睡眠薬がその患者さんに本人にベストの薬剤であるのかどうかを常に検討しなければならないということです。

つまり、主治医は、現在の薬物治療がベストであると安易に判断し、同じ処方を延々と続けていてはいけないのです。

可能な限り、患者さんにとってよりよい睡眠薬を求め続けることが医療者には必要であり、安易に妥協しないことが肝要です。

ほかのクリニックですでに受診、治療していてセカンドオピニオンとして受診する患者さんの処方内容は、医療者が努力を怠り、全然効いていない睡眠薬を数年以上に渡って処方し続けているケースがみられます。

そしてもっと問題なのは、患者さんは本当はほかにもっと良い方法があるのに今の睡眠薬が最善の睡眠薬であると思いこみ、全然効いていないということに気づいていないケースです。

初めてうつ病になり、あるクリニックに通院を始め、「なかなかよくならないけど、うつ病治療とはこんなものなのだろうか…」と不思議に思いながらも数年経過していることもあります。セカンドオピニオンを受けることすら思いつかず、問題解決が遅れます。

患者さんが客観的な眼を持つことができればいいのですが、専門家でない患者さんにそこまで求めることは無理というものです。

だからこそ、医療者には常に患者さんにとってさらによりよい治療がないか、検討し続ける努力が必要なのです。

通院期間が短いほど適切な薬剤の選び方

「合う」「合わない」の薬剤の選び方に関して、興味深いことがあります。

うつ病に関しては、適切な薬剤の選び方をしているクリニックや病院であればあるほど、一人当たりの通院期間が短くなります。

つまり、適切な薬剤選択が治療効果を示し、心の病が早く治るということです。とくにうつ病に関してはその傾向が強いように思います。

不適切な薬剤の選び方をしていると、治るものもなかなか治りません。必然的に治療期間は長くなります。これは不眠症における睡眠薬も同じです。

睡眠薬を多く選択している

睡眠薬の薬剤数

もうひとつ大切な指標があります。睡眠薬をいくつ使用しているかという、睡眠薬の使用薬剤数です。一般に適切な薬剤治療をしていれば、用いる薬剤数は少なくなります。

つまり、個々の患者さんに非常に合う適切な薬剤の選び方がされていれば、何種類もの薬剤を用いる必要はありません。

ある薬剤では効かないと主治医が感じているから、さらにもう一種類の薬剤を追加し、ひいてはさらにもう一種類という感じで薬剤数が増えていくのです。

睡眠薬を選ぶならセカンドオピニオンも試すべき?

以上をまとめると、少ない薬剤数でもって短期間で通院を終えることができれば、そこの医
療者は信頼に値すると考えても、間違いはないように思います。

患者さんが「どうも治療がおかしい…」と思って主治医に薬剤変更などを訴えても、主治医がごまかそうとしたり、自分の非をなかなか認めす話を聞いてくれないなどということがあったら要注意です。

これでは良好なコミュニケーションは望めず、信頼関係を築くこともできません。そうすると正しい睡眠薬の選び方にも悪い影響が出てしまいます。

こういうときは、セカンドオピニオンを求めて、他の専門家に現在の治療状況に関してコメントしてもらうという積極的な行動が必要です。

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