近年、睡眠薬の安全性はますます高まっていますが、どうしても副作用は少なからずあるものです。
ここでは睡眠薬の副作用、依存性について解説しています。
目次
睡眠薬4つの副作用
フェノバール、フェノバルビタール等のバルビツール系睡眠薬に取って代わって、 ハルシオン、リスミー、レンドルミン等のベンゾジアゼビン系、マイスリー、アモバン等の非べンゾジアゼビン系の睡眠薬が用いられるようになりました。
睡眠薬の安全性はかなり高まったと言えますが、副作用がまったくないわけではありません。
ベンゾジアゼビン系(ハルシオン、リスミー、レンドルミン等)、非べンゾジアゼビン系(マイスリー、アモバン等)の睡眠薬の副作用としては次のようなものが挙げられます。
副作用①眠気が残る、ふらつく (持越し効果)
眠気が残ったり、ふらつくといった持ち越し効果は、効果が長時間続くタイプの睡眠薬で引き起こされます。睡眠薬の効果が目が覚めた後も続くためです。高齢者に比較的現れやすい症状です。
ふらついて転倒すると危険ですので注意が必要です。
副作用②もの忘れをする(健忘)
薬を飲んで効果が現れてからの行動をおぼえていないことがあります。
物忘れをする健忘は、効果の続く時間が短いタイプの睡眠薬で起こることが多いです。
副作用③薬に頼るようになる(依存)
「反跳性不眠」といって薬を長期間服用していて飲むのをやめると眠れなくなるという症状で す。
これを身体的依存と言ったりしますが、これに対して「薬がないと眠れないはず」という思い込みから不眠になる精神的依存があります。詳しくは後述します。
副作用④睡眠薬が効きにくくなる(耐性)
ベンゾジアゼビン系、非べンゾジアゼビン系の薬ではあまりありませんが、何年も同じ薬を使っていると耐性がついて効果を得にくくなってくることがあります。
主治医の指示に従って正しい期間、用量を飲むようにしましょう。
大切なのは症状を見極め、専門家に処方された薬を適切に使用するということです。
睡眠薬への依存
現在では、依存性の比較的弱いベンゾジアゼピン系の睡眠薬が主流になりました。
また、さらに依存性の低い非べンゾジアゼビン系の優れた睡眠薬が登場しています。最もよく臨床の場で使われているのが、一般名ゾルピデム酒石酸塩(商品名マイスリー)です。
依存しにくいマイスリー
依存性は弱く、作用時間は4時間前後であり翌日の持越し効果(目覚めた後にも作用が残ってしまうこと)はあまりありません。
作用はマイルドであり、すっきり目覚められるので、軽症の不眠症には最適とされています。
欧米のみならずわが国でも医療現場での使用頻度は第一位であり、最も好まれる睡眠薬の地位を獲得しています。
しかしながら、マイスリーは中等度以上の不眠症には効果が弱いために、対応し切れないこともあります。
睡眠薬に頼る反跳性不眠
睡眠薬を連日使用していると、どうしても睡眠薬の依存の問題が出てきます。さきほど述べた作用の弱いマイスリーであっても依存の問題が起きることがあります。
反跳性不眠とは
たとえば、ごく軽症の不眠症である患者さんであっても、安易に睡眠薬を使って快適な睡眠を取ることができるようになると、自分の力で十分な睡眠を取るよりも、睡眠薬を使って簡単に睡眠を取ることに依存してしまうことがあります。
そうなると、薬なしで寝ようと思っても寝られなくなってしまう場合があります。 これが反跳性不眠です。
この場合、やめようとしても反跳現象のために睡眠薬を飲まないと一睡もできない、あるいは眠れても1、2時間ほどの短時間という状態の日が続きます。
この時期を耐えることができないと睡眠薬をやめることは難しいです。
タバコやお酒と同じようなもので、一度身についた習慣をいきなりやめることはなかなかできません。それゆえ、睡眠薬を簡単に使うのではなく、必要性に応じて専門家に相談しながら適切に使うことが必要なのです。