眠っている間にも、人の体はさまさまな慟きをしています。
睡眠イコール休息というイメージがありますが、人間は眠りによって単に脳や体を休めているだけではありません。翌日に備えて、さまざまな仕事をしているのです。
しっかり眠るのと眠らないのでは作業効率が大きく変わります。
眠りと作業効率
たとえば、浅い眠りのレム睡眠の時に、脳は目を覚ましている時と似た動きをしています。
この時、脳は、その人が体験したことや学習したことを、頭の中で振り分けて記憶(定着)させているのです。
だからこそ、たくさんの体験や学習を重ねている子どもたちは、大人と比べて長時間眠る必要があるわけです。
そして、深い眠りのノンレム睡眠では、細胞の新陳代謝を高め、免疫力を増強させる働きをしています。つまり、ノンレム睡眠の時間がうまく取れないと、免疫力が低下するため、病気にかかりやすくなってしまいます。
また、新陳代謝が低下すると、体の中から悪い物が出ていきにくく、いつまでもお酒が残ったり、疲れが抜けなかったりするのです。
睡眠不足のせいで人一倍努力しても、効率が悪い
金融業界で働くAさんは悩んでいました。その理由は、新しい仕事が思うように覚えられなかったからです。Aさんは人一倍努力家で、連日睡眠時間を削ってまで復習していたのに、翌日やってみると半分ほどしか覚えていません。
そこで「努力が足りないに違いない」と考え、さらに睡眠時間を削って復習を重ねました。しかし、結果はどんどん悪くなるばかり。さて、どうしてでしょうか。
答えは、Aさんの「寝る時間を削って復習する」という方法が間違っているからです。
経験や学習は眠ることで脳に記憶されるので、眠らずに何かを覚えようとするのは、穴のあいたコップに水を注ぐようなもの。とても効率が悪いのです。
作業を諦めてしっかり眠ることを優先
その後、寝不足続きで体調が思わしくなくなったAさんは、復習するのをあきらめてしっかり眠るようにしました。
眠りを作業より優先した結果、以前より記憶が鮮明になり、仕事がスムーズにでき、かえって効率が良くなったといいます。
このように、新しいことを覚えたい時や、集中力を高めたい時こそ、効率をよくするためにもしっかり睡眠をとらなくてはいけません。
良い眠りが仕事の効率を上昇させる鍵といえます。