睡眠薬の依存を心配する人に処方される睡眠薬とは?

睡眠薬の依存を心配

睡眠薬の依存を心配する人に処方される睡眠薬を、症例とともに紹介しています。

睡眠薬だけではなく、睡眠衛生や日中の光環境の整備、夕方の軽い運動なども有効です。

最近では認知行動療法も慢性不眠の治療に有効とされています。

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睡眠薬の依存を心配

睡眠薬依存

睡眠薬の依存を心配する方の症例です。

年齢、性別:72歳男性

人柄:まじめで何事にも几帳面な性格。

既往歴:特になし。

大学卒業後、会社役員などを経てときどき会社に顔を出す程度の仕事を継続している。内科、耳鼻科の病気なども医師から薬が処方されるとインタ一ネットで添付文書などを調べたりするが物静かな応対の方である。

60代の頃より、ふっと眠れなくなることがあり、明日の仕事のことなど考えたりしているうちにますます入眠できなくなることがあるため、かかりつけ医から睡眠薬を処方してもらっていた。

旅行など、自宅から離れたところで宿泊した際は、不眠を自覚することはなかった。中途覚醒についてはあまり自覚はなかった。

1種類の睡眠薬だけ服用すると、量が多くなり、睡眠薬依存になるのではないかと心配され、3種類を少量交互に服用していた。

しかし、次第に入眠困難が強まり、かかりつけ医から精神科受診を勧められ当院受診となる。小柄で肥満は認められない。ハルシオン、アモバン、レンドルミンの3種類を交互に服用していた。

睡眠薬の依存を心配する場合の処方例

依存を心配する場合の処方例

睡眠薬は、1種類にして、同じ睡眠薬を服用するのが望ましいです。

処方例1

ゾピクロン(アモバン®)7.5mg錠1回0.5〜1錠、1日1回就寝前
あるいは、エスゾピクロン(ルネスタ)1mg錠1回1錠、1日1回就寝前

処方例2

ロラゼパ厶(ワイパックス)0.5mg錠1回1錠、1日1回夕食後

あるいは、ゾルピデム(マイスリ一®)5mg錠1回0.5〜1錠、1日1回就寝前

睡眠薬の

処方の考え方

入眠困難が主体であるので、超短時間あるいは短時間型の睡眠薬の処方の適応となります。

そうすると、現在市販されているのは、ベンゾジアビン系のトリアゾラム(ハルシオン)、ブロチゾラム(レンドルミン)、リルマザホン(リスミー)、ロルメタゼパム(エバミール)か、あるいは非ベンゾジアゼピン系のゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロン、メラトニン受容体作動薬のラメルテオン(ロゼレム)となります。

なお、年齢を考慮していくと、70歳の高齢であり、筋弛緩作用(ふらつき、転倒)の少ない非ベンゾジアゼピン系の薬剤か、メラトニン受容体作動薬のいずれかが適当ではないでしょうか。

精神生理性不眠

ついで背景となる基礎疾患は何か、あるいはその不眠の原因は何かを考えます。几帳面な人柄で、睡眠薬の依存を恐れながら、でも眠れないことにこだわり、葛藤状況が生じています。

背景に精神疾患は認められず、身体的にも問題となるような心疾患、呼吸器疾患はありません。このようなことから精神生理性不眠と診断されます。

副作用を考え、種類を少なく

そこで、多少抗不安作用もあるゾピクロンの処方を考え、今まで服用していたこともあり第1処方薬とします。

それでも、入眠困難が継続するようであれば、これまで服用したことのないゾルピデムの処方を検討します。その際、抗不安作用はないので向精神薬ロラゼパムを併用することも考えられます。

相互作用による副作用の増強、効果の判定が困難になる、などの理由から、種類はできるだけ少ない方がよいでしょう。

ゾピクロンで徐々に入眠が促進されるようになり、それでもうまくいかないときは非薬物療法などを行い、ゾピクロンも徐々に減量していくのが理想です。

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