よく、「長時間眠らないと死んでしまう」といわれるが、けっしてそんなことはない。
これまでの断眠の公式世界記録は、なんと264時間11分。日数にすると、11日と21分にもおよぶ長時間。
これだけ眠らなくても人間はちゃんと生きていける。少々眠れないくらいで簡単に死んでしまうわけではないということがわかるだろう。
ギネスに載った長時間眠らずに起きていた高校生
この断眠記録保持者は、ランディー・ガードナー君というアメリカの高校生だった。ランディー君は、ギネスブックに自分の名前を残したいと考え、この無謀ともいえる実験にチャレンジすることを決意したという。
目標は260時間。眠くなると、まわりを取り囲んだ友人がつっいたり、大騒ぎをしたりして、眠気を追い払った。
やがて、実験のことを知った新聞社やテレビ局もかけつけて取材をするから、ランディー君は意地でも眠ることができない心境に追い込まれた。
そして、目標の260時間を超えても、なお4時間以上もがんばり続けてしまったのである。この実験中、ランディー君は多少、神経過敏になったり、白昼夢を見ることはあったようだが、深刻な神経症状を引き起こしたりはしなかった。
長時間の断眠の後の様子
とはいっても、「実験後の彼は、死んだように眠り続けたにちがいない」と思うだろう。だが、実はそうでもない。さすがに第一夜は14時間40分間も眠りつづけたが、それだけですっかり元気を取り戻してしまったそうだ。
次の日は10時間25分、その次の日は9時間3分、それからはふだんどおりに7時間ほどの睡眠時間にもどったという。
結果的に、ランディー君は、睡眠不足の回復力がいかに早いか、ということもあわせて実験してしまったようなものだった。
ちなみに、ランディー君の実験が行われたのは、1964年のクリスマス休暇。2007年にトニー・ライトさん(42歳)が長時間断眠の記録を更新したというが、健康への影響からギネスブックには記載されていないという。