体に悪いことはわかっているが、それでもやめられないのがタバコのようです。
喫煙者の60パーセント以上が、少なくとも一度は禁煙にトライしたことがありますが、成功したのは10人に1人というのです。タバコをロにくわえると安心するという声を耳にします。
しかし、良い睡眠をとるためにはタバコは害になるのです。
タバコと睡眠
たしかに、タバコを吸っている人の多くは、気持ちを落ち着かせるために口にしているのでしょう。
夜のマンションのベランダに点々と灯る小さな火。チラチラと点減する灯は、室内で喫煙を禁じられ、ベランダに追いやられたスモー力ーたちがくわえるタバコの火です。
おそらく、寒い冬もべランダでしか喫煙は許されないのでしよう。愛煙家にとっては、たとえべランダであっても、寝る前の一服は至福をもたらしてくれる瞬間だと思います。
この一服のおかげで、心地良い眠りに導かれると思い込んでいる人もいるのではないでしょうか。
タバコは眠気を遠ざける
しかし、タバコに含まれるニコチンは興奮性の物質。しかも、ニコチンはすぐに効き出すため、寝る前の一服は眠気を遠ざける目的で吸っているようなものといってもいいくらいです。
「いや、タバコを吸うとリラックスできるんですよ」という場合は要注意。
タバコを吸うとホッとするという人は、ニコチン中毒にかかっている可能性があります。タバコを吸うと、体がニコチンを求めてイライラと落ち着かない症状が一時的にやわらぐので、ホっと感じるのです。
愛煙家と入眠時間
タバコを吸ってから布団に入ると、寝入る時は、このイライラ緩和作用で落ち着いて眠れるような錯覚を覚えるものです。
しかし、実際は、ニコチンがアドレナリンの分泌をうながし、眠りにくくなっています。たとえ眠れたとしても、睡眠は浅く、不安定なものになりがちなのです。
愛煙家はタバコを吸わない人と比べて眠るのに「3倍」かかる
ぺンシルバニア大学が喫煙と睡眠の関係にっいて調査したところ、愛煙家が寝つくまでの平均時間は52分もかかるのに対して、タバコをやめると、その時間は3分の1の17分程度に縮まったといいます。
全面的にタバコをやめろとまではいいませんが、ぐっすり質の良い睡眠をとりたいならば、少なくとも、「寝る前にタバコを一服」という習慣にはピリオドを打ったほうがいいでしょう。
タバコの一時的な落ち着きに騙されてはいけないのです。
どうしても眠れないなら、ホットミルクやハーブティーなどの気持ちを落ち着かせ、入眠を誘うものに切り替えましょう。