心臓や肺、胃などの器官は、睡眠中もきちんと機能しています。
このように意思とは関係なく体の諸器官の活動をつかさどっている神経を自律神経と呼んでいます。
ここでは、お腹がすいて眠れないという人のために、自律神経をコントロールすることでを睡眠をあやつる方法をご紹介します。
目次
睡眠と自律神経
自律神経には、交感神経と副交感神経があり、どちらかが働いている時はもう一方が休むといったシーソーのような関係になっています。対照的な慟きをする2つの神経です。
緊張モードの交感神経
交感神経は、仕事や勉強など一生懸命に何か活動しようとしている時に働く神経で、体を仕事モード、緊張状態にしてくれます。
リラックスモードの副交感神経
一方、リラックスしている時に働くのが副交感神経です。緊張状態からのんびりした状態に体を切り換えてくれる自律神経といえます。
つまり、交感神経は昼の顔、副交感神経は夜の顔といえるでしょう。
この交換神経から副交感神経へのバトンタッチがスムーズに行われることで気持ち良く睡眠に入っていけるのですが、たとえばストレスや不安があると、体はなかなかリラックスした状態にならず、副交感神経への切り換えがうまくできません。
その結果、寝つきが悪い、不眠、浅い眠りといった症状をひきおこすわけです。
自律神経のコントロールで睡眠を操る
さて、お腹がすくと脳はエネルギーの補給を考えます。
体を動かす燃料が少なくなってきているのは生命の危機ですから、脳は本能的に食事をしようと躍起になるわけです。
これは興奮状態で、この時に支配しているのは交感神経のほうです。先にも話したように、睡眠を支配しているのは副交感神経のほうですから、お腹がすいていると眠れないという状況に陥るのです。
ホットミルクで副交感神経優位に
そこで、何かを口にして脳を安心させてリラックスする必要があるのですが、ここで思い出してほしいのは、睡眠前にたくさん食べると眠りの質が悪くなるということです。
実際、睡眠前の2時間は飲食禁止くらいがちょうどいいのです。
しかし、お腹がすき過ぎても眠れないのは事実。そこで、熟睡の妨げにもならず、鎮静効果もあってリラックスできる飲物をおすすめします。
おすすめなのがホットミルクに少し砂糖を入れたものを飲むことです。
これで「おなかに何かものが入りました」という信号が脳に伝わり、安心して眠れるようになります。
空腹時は交感神経が優位になり眠れない。自律神経を副交感神経優位にするためのスイッチがホットミルクなのです。
ホットミルクの鎮静効果
ベッドに入ったものの、さまざまなことが次から次に脳裏をかけめぐり、かえって目が冴えてしまった……。悶々と考えているうちに、いつしか明け方近くになってしまう。ようやく眠れたと思ったら、すぐ朝が来て、その日一日眠気と闘いながらすごさなければならなくなる。
誰にでもこんな時があるものですが、目が冴えてしまった時は思い切って起き出し、ミルクを飲むといいでしょう。
この時、面倒かもしれませんがミルクは必ず温めて飲むようにしましょう。冷たいミルクは胃を刺激し、かえって眠りにくくなってしまう場合があるからです。
ぬくぬくと温かな布団にくるまっていると自然に眠くなるように、人間は体温が高くなると自然に眠気を覚えるものです。温かいミルクを飲むと体温が少し上がる。この、ほんのわずかな体温差が自律神経を副交感神経に導き、心地良い眠りに導く効果をもたらすのです。
入眠に最適な自律神経に
ミルクにはタンパク質のほか、 カルシウム、リン、鉄、ナトリウム、カリウムなどのミネラル分、ビタミンA、B群、ビタミンCなどが豊富に含まれています。
とくにカルシウムやビタミンB群は自律神経の高ぶりを抑える働きがあり、それだけでも眠りやすい状態をととのえる効果が期待できます。
さらに、ミルクの主要タンパク質であるカゼインは、強いストレスも忘れさせてしまうような、深い鎮静効果があるといわれています。
これだけの要素が揃うと、ホットミルクはまさに眠りのためにある飲み物のようです。
それもそのはず、そもそもミルクとは親が子どもに与えるもの。ミルクをたっぷり飲んだ赤ちゃんは、多少の刺激を与えても目を覚まさず、ぐっすりと眠っています。大人の場合にも、同じような鎮静効果をもたらしてくれます。
これを利用しない手はありませんね。